Cinema No. 344

ラブロマンス・恋愛

July 18, 2004

The Classic

韓国映画、「ラブストーリー」を観た。原題、「The Classic」
監督は、「猟奇的な彼女」のクァク・ジェヨン監督。

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胸から絞られるように涙が出た。

まさに原題通りの、古典的な純愛物語。けど、古典的であろうと、展開がありきたりであろうと、やらしさを全く感じさせない、計算されつくした絶妙な作りは、「猟奇的な彼女」と同様、本当に素晴らしいものがある。脚本というかストーリーテリングというか、その方面だけでもこの監督は凄い。こんなに湿ったストーリーなのに、笑いを取ることもしっかり忘れてないし。こう立て続けにその手腕を見せ付けられると、次回作もはずれそうにないと思わざるを得ない。

友達の好きな人を好きになってしまったことに悩む主人公ジヘがある日開いたのは、母の初恋を綴った日記と手紙。そこから母ジュヒの初恋の物語が語られ始め、重なるように現代の娘の恋も進行していく。母も三角関係に悩んでいたが、母の場合は2人の男の間で苦しんでいた。物語のメインは母の恋と母の初恋の相手ジュナの恋なのだが、この恋と、男同士の友情がこれでもかってくらい切ない。けど、切ないだけじゃないのが、この映画のいいところ。

たとえば、いいシーンの一つに、主人公が相手の気持ちを知って、雨の中踊り出すように駆けるシーンがある。好きな人の自分に対する気持ちを知った瞬間の感動って、ホントこんな感じだよなーって思わされる、とてもいいシーン。

それから、ジュナ役の人の演技が素晴らしい。あの笑顔が焼きつくから、ストーリーの仕掛けが生きてくるんだと想う。最後はジュナの運命を思って涙しました。

悲しい話は好きじゃないけど、救われた気分にもなれるからこの映画は好きだ。

好み評価:☆☆☆☆1/2

June 18, 2004

Balzac Et La Petite Tailleuse Chinoise

フランス映画、「小さな中国のお針子」を観た。原題:Balzac Et La Petite Tailleuse Chinoise

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監督も中国人なら、メインキャストも皆中国人で、舞台も中国だけど、雰囲気はもう完全にフランス映画。ダイ・シージェ監督の自伝的小説が原作になっているらしく、その原作からフランス語で書かれているらしい。ダイ・シージェは長いことフランスで活動している。

映画の舞台は中国の山村。文革の頃に、反革命分子の子ということで「再教育」のため山村に送り込まれた2人の青年が、そこで出会う「お針子」という村で一番美しい娘と恋に落ちるという話。ストーリーは、恋愛を語るものではなく、2人がいかにして無知な田舎の娘を禁じられた西洋文学によって目覚めさせるかということに奔走する様や、村での生活、村人との関わりをコミカルに描く。バイオリンの演奏を披露するとき、モーツァルトのソナタを奏でながら「毛沢東を想って、という曲です」なんていう具合に。

この作品で印象的なのは、ほぼ全てのシーンに登場する中国の山村の絶景と、文学に対する人々の憧れだ。設定では、この映画の舞台は、今はもう三峡ダムのために沈んでしまったエリア。三峡下りといえば、中国で観られる最も美しい景色の一つとして知られる。そんな景色の中でこのほろ苦くも綺麗な物語が進むのだから、ただボーっと眺めているだけでも飽きない。全編を通して流れるバイオリンや胡弓の調べがこの景色と相俟って本当に心地がいい。

もう一つは人々がいかに文学というモノに飢えているか、この時代の人々を動かす力に驚かされた。ここでは小説が、中世ヨーロッパの胡椒さながら、この世の秘宝のように扱われている。そして、一冊のバルザックが3人の人生を変えてしまう。知への欲求と、本の力というものを考えさせられる。

自分にとって大切な本を改めて掘り起こしてみようかな。

好み評価:☆☆☆1/2

May 17, 2004

八月のクリスマス

自分の中で韓国映画がブームになりつつある。韓国映画関連のサイトを眺めているとよく目にするタイトル、「八月のクリスマス」を借りてきて見た。

ホ・ジノ監督、ハン・ソッキュ、シム・ウナ主演。英題「Christmas in August」

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あらすじ等を特に見ないで借りてきたため、観始めてしばらくして、あ、失敗したかな、と思った。いわゆる難病モノだったからだ。主人公が死んだりする悲しい話はあまり好きではない。「ラスト・プレゼント」のようなこれでもかってくらいハイテンションで激しい悲劇が展開されるのだろうか、と思ってしまった。

けど、観終わってみると、これほど爽やかな映画もないんじゃないかと思えてしまった。

98年の映画なんだけど、時代設定からくる人々の服装や景色と映像の色などの感じから、見終わって調べるまで80年代の映画かと思っていた。
セリフが少なく、北野武っぽいなと思った長い「間」の取り方、落ち着いた主人公のキャラクター、抑えられた表現、全てが予想していた「悲劇」の在り方ではなかった。全体的な印象は、小津安二郎監督の「東京物語」を彷彿とさせる。

色使いから古そうな印象を受けるけど本当に綺麗な映像とシーンの連続で、主人公二人の映画だということを忘れそうなくらい自然な演技が素晴らしい。映画的に盛り上がるところをあえて避けていくようなストーリー展開のためあっけなくもあるのだが、観終わってから数分、数十分と経って感動が増してくるタイプの映画だ。

傑作。

好み評価:☆☆☆☆

May 14, 2004

猟奇的な彼女

韓国映画、「猟奇的な彼女」 英題「My Sassy Girl」

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最近これしか言ってない気がするけど、マジ感動した!最高最高。
コメディーとしてもラブロマンスとしても一級。こんなに面白い映画は暫く見てない。原作はネット上に書き込まれたほぼ実話って話だけど、映画はエンターテイメントとして非常に上手く脚色されたものだと思う、笑いとか伏線とか絶妙。

なんといっても主演のチョン・ジヒョンが素晴らしく可愛い。惚れる。怒ってる顔はそうでもないけど(劇中は怒ってばっかなわけだけど)。
個人的に「彼女」がキョヌ(主人公)をぶん殴るときに、割と体重乗ってそうないいパンチを繰り出してるとこがツボにはまってました。すんげぇ痛そうなの。

映画を見終わって、レビューサイトを見に行ったら、彼女は「イルマーレ」にも主演で出ていたと知る。イルマーレは見たし、凄く気に入った映画だったんだけど、なぜか主演女優の顔は印象に残っていなかった。言われてもピンとこない。けどサイトで確認するとやっぱ同じ顔だ。不覚。他の出演作も要チェック。

それにしても今思うと、今まで見た韓国映画でハズレは一つもない。と言ってもいくつかしか見たことないけど。(シュリ、イルマーレ、ラストプレゼント、など)
恐るべし韓国映画。はまりそうな予感。


返す前に、もう一度最初から通して見てしまった。二日連続で。生まれて初めて。あーあ。


「偶然とは、努力した人に運命が与えてくれる橋」 いいセリフだね。

好み評価:☆☆☆☆☆

April 25, 2004

千年女優

千年女優。英語版は「Millenium Actress」

今敏監督作品。

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いやー感動した。

前半は正に「映画」を感じさせる娯楽作品という感じ。後半は一気にこれでもかというくらい切ない。映像と音楽が綺麗で、登場する様々な時代風景(中世、幕末、明治大正、戦前戦中戦後、現代、近未来)やその時々の衣装も美しい。スピーディーに切り替わるリアルと虚構、現在と過去の混合、と構成が面白い。
おばあちゃんになっても素敵な女性が、初恋を語るってだけで良いよね。

映画が終わる頃、もう終わっちゃうの?と名残惜しくなる。

ラストは、一瞬びっくりするけど、考えると、やっぱあれでいいのかも、と思う。

2002年にドリームワークスから世界配給もされてたみたい。
英語版オフィシャルサイト「Millenium Actress

好み評価:☆☆☆☆1/2

April 02, 2004

黄泉がえり

黄泉がえり。

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草薙剛、竹内結子主演。
柴咲コウが劇中に歌手「RUI」として歌った「月のしずく」が凄くヒットしていたのを思い出す。結構好きな歌だったな。
舞台は阿蘇。死者がそのときのままの姿で次々と生き返ってくるという現象が起こる。自分よりかなり年下の「兄」が生き返ってきたり、出産と同時に死んだ母が成長した娘と同じくらいの年頃で再会したり、生き返ってくる場面だけでかなり泣ける。
けどやっぱりただ生き返ってくるだけ、ってわけはなく。
一瞬ホラーなのかと思ったけど、そんな要素は全然なくて、とても切なくて悲しい話だった。

好み評価:☆☆☆

感動したけど、☆三つな理由はちょっとネタバレなので下に。

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March 30, 2004

恋は舞い降りた

恋は舞い降りた
唐沢寿昭、江角マキコ主演。
天使の手違いで死んでしまった男が生き返る条件として一人の人を幸せにする、という話。笑えるし、見た後に気持ちがよくなる作品だった。映画のタイトルと同じ歌と、Bzの「いつかのメリークリスマス」がこの映画の主題歌。

好み評価:☆☆☆1/2

March 29, 2004

The Thomas Crown Affair

The Thomas Crown Affair, 邦題「トーマスクラウンアフェア」
ピアス・ブロスナン主演

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モネを盗む、という設定に興味を持って借りてきた。ブロスナンは、007というよりMrs.Doubtfireに出てくるあの印象なんでどんなだろ、と思ってたら、やっぱり007だった!物凄くかっこいいですよ、この作品でのすかしっぷりは。モネを盗むシーンとクライマックスのシーンはもう完全にジェームスボンドの身のこなしです。娯楽作品として、文句なしに楽しめる傑作。お勧め。

好み評価:☆☆☆☆

Shakespeare in Love

Shakespeare in Love、邦題「恋におちたシェイクスピア」
グウィネス・パルトロウ、ジョセフ・ファインズ主演。98年アカデミー賞作品賞。
若き日のシェイクスピアがお姫様に恋したり、お姫様は男装してシェイクスピアの劇団で役者をやっていたり、という話。
初めて観たときは飛行機の中だったんだけど、途中お姫様が男装して劇団に入る、というシーンを見逃していて、クライマックスでシェイクスピアが少年の正体が姫様だと気づくシーンまで少年と姫様が同一人物だと気づかなかったりした。作中でシェイクスピアが気づくシーンで一緒になってびっくりした。後で思い直すとかなりありえない。
しかし何度見てもいい。大のお気に入りです。

好み評価:☆☆☆☆☆

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