Cinema No. 344

October 2005

The Crow

crow.jpg今回は、ブランドン・リー主演「The Crow」について。クロウは94年の作品であり、バットマンのようにアメコミの超人気作品が映画化されたものだ。なぜか日本での知名度がイマイチなのだが、当時アメリカで中学生だった僕は、友達と一緒に当たり前のようにこの作品に夢中になった。子供っぽさがいやになり、「ダークな感じ」がたまらなくカッコよく思える、ちょっと擦れたい年頃だった。物語はハロウィーン前日、結婚を翌日に控えたエリック(ブランドン・リー)が恋人もろとも無残に殺され、一年後、墓の下から不死身の復讐鬼となって蘇る、というアクション悲劇(ホラーではない)。全体的に黒を基調とした映像で、ただの復讐アクションで終わらない見事な感情の演出、nine inch nailsやstone temple pilotsといったオルタナティブロックをBGMに使用し、"It can't rain all the time", "I say You move and you're dead!""And I say I'm dead. And I move...","This is not a good day for the bad guys." ・・・など愛情や皮肉がたっぷりの多くの名台詞を残した、とにかく当時としては最高にスタイリッシュな作品だった。

主演のブランドン・リーは、ブルース・リーの実の息子で、父とは違う独自の路線で成功できる実力を持っていたように思える。少なくとも本作品での演技は素晴らしいと思う。しかし、ブランドンにとって、このクロウが遺作となってしまう。撮影中、小道具のはずだった拳銃に実弾が混じっており、本番中、打たれるシーンで本当に死んでしまったのだ。そのため、この映画は一部代役や当時最先端の技術だったCGによる加工で完成されており、そのことも話題になった。そして、劇中エリックが結婚前日に死んでしまうように、ブランドン本人もまた、映画の撮影終了後に結婚式を控えていた。この事件の詳細については以下のリンク参照。

"From Triumph to Tragedy"

だけど僕は初めて見たとき、彼があのブルース・リーの息子だということも、彼がそんな事故でもうこの世にいないということも知らなかった。その恐ろしくも悲しげな姿とめちゃくちゃな強さがただただカッコよかった。彼が死んでいると知った時は本当に愕然としたのを覚えている。

ちなみに彼に魅せられて以来、中学高校と僕のハロウィーンの仮装は決まってクロウだった。いつまでたってもクロウは僕のハロウィーンのシンボルだった。今年もあるハロウィーンパーティに呼ばれた際に、実に6年ぶりの仮装だったけれども僕は特に考えることなくこのクロウメイクで臨んでみた。だけど、その場にいた誰もこのクロウを知らなかったんだ。「怖いピエロだね」とか言われて。やっぱりアメリカの外じゃ知名度低いんだなぁと痛感。一押しの傑作映画なんでまだのひとは是非見てください。

好み評価:☆☆☆☆☆

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