Cinema No. 344

ホラー・サイコ

The Crow

crow.jpg今回は、ブランドン・リー主演「The Crow」について。クロウは94年の作品であり、バットマンのようにアメコミの超人気作品が映画化されたものだ。なぜか日本での知名度がイマイチなのだが、当時アメリカで中学生だった僕は、友達と一緒に当たり前のようにこの作品に夢中になった。子供っぽさがいやになり、「ダークな感じ」がたまらなくカッコよく思える、ちょっと擦れたい年頃だった。物語はハロウィーン前日、結婚を翌日に控えたエリック(ブランドン・リー)が恋人もろとも無残に殺され、一年後、墓の下から不死身の復讐鬼となって蘇る、というアクション悲劇(ホラーではない)。全体的に黒を基調とした映像で、ただの復讐アクションで終わらない見事な感情の演出、nine inch nailsやstone temple pilotsといったオルタナティブロックをBGMに使用し、"It can't rain all the time", "I say You move and you're dead!""And I say I'm dead. And I move...","This is not a good day for the bad guys." ・・・など愛情や皮肉がたっぷりの多くの名台詞を残した、とにかく当時としては最高にスタイリッシュな作品だった。

主演のブランドン・リーは、ブルース・リーの実の息子で、父とは違う独自の路線で成功できる実力を持っていたように思える。少なくとも本作品での演技は素晴らしいと思う。しかし、ブランドンにとって、このクロウが遺作となってしまう。撮影中、小道具のはずだった拳銃に実弾が混じっており、本番中、打たれるシーンで本当に死んでしまったのだ。そのため、この映画は一部代役や当時最先端の技術だったCGによる加工で完成されており、そのことも話題になった。そして、劇中エリックが結婚前日に死んでしまうように、ブランドン本人もまた、映画の撮影終了後に結婚式を控えていた。この事件の詳細については以下のリンク参照。

"From Triumph to Tragedy"

だけど僕は初めて見たとき、彼があのブルース・リーの息子だということも、彼がそんな事故でもうこの世にいないということも知らなかった。その恐ろしくも悲しげな姿とめちゃくちゃな強さがただただカッコよかった。彼が死んでいると知った時は本当に愕然としたのを覚えている。

ちなみに彼に魅せられて以来、中学高校と僕のハロウィーンの仮装は決まってクロウだった。いつまでたってもクロウは僕のハロウィーンのシンボルだった。今年もあるハロウィーンパーティに呼ばれた際に、実に6年ぶりの仮装だったけれども僕は特に考えることなくこのクロウメイクで臨んでみた。だけど、その場にいた誰もこのクロウを知らなかったんだ。「怖いピエロだね」とか言われて。やっぱりアメリカの外じゃ知名度低いんだなぁと痛感。一押しの傑作映画なんでまだのひとは是非見てください。

好み評価:☆☆☆☆☆

The Village

village.jpgM.ナイト.シャマラン監督、「ヴィレッジ」を観た。ホアキン・フェニックス、ブライス・ダラス・ハワード主演。この作品は完全に宣伝の仕方を間違った。シックスセンス、サイン等を製作したシャマラン監督作品で、「あの驚きが再び・・・」みたいに言われていたが、それを期待して来た観客は肩透かしを食らうことだろう。この映画は、ホラーでもなく、サスペンスでもなく、ラブストーリーだったからだ。しかも、ホントにグッとくる、いい物語だ。もしこれが、シャマラン監督作品と知らされず、シックスセンス系だよと宣伝されずにいたら、何倍も評価は高かったように思う。ストーリーや物語の展開は正に民話と呼ぶに相応しく、そこまで斬新というわけではないのだが、映像美や脚本、演出の質の高さ、そして出演陣の全体的な演技水準の高さから本当に丁寧に作りこまれた、良い作品であるということが分かる。監督が作り出した全体の緊張感ある雰囲気の中、役者の演技が見るものを引き込んでいくのだが、特にそれを引き立てる演出が素晴らしい。前半のルシアス(ホアキン)がアイビー(ブライス)の手を取るシーンなんかは涙出そうでした。この映画のいいところは、物語の展開の核となる人間関係を非常に丁寧にバランスよく描いたために、後半中核キャストと脇役達に感情移入させることに大きく成功しているところだ。話のメイン筋だけでなく、背後に横たわるテーマや見守る人々のことにも想いを巡らせながら観ていられる。あまり評価されていない作品のようだけれども、僕はこの作品を大いに評価したい。

bryce.jpgこの映画を観て一番の収穫は、主演のBryce Dallas Howardに出会えたこと。まともに映画出演するのは初めてというが、彼女の存在がこの映画の評価を一段と高めている。この映画が気に入らなかった人も、彼女の演技には目を奪われていたはずと思う。物凄い悲壮感を漂わせたあの演技には脱帽です。とても美人というわけではないけれど、ヒロインとしてこれ以上ないキャストだったように思います。(その点がスパイダーマンのキルステン・ダンストと違うところか笑)ちなみに彼女、ロン・ハワード監督(バックドラフト、アポロ13)の娘さんらしい。
ファンになりそうです。

好み評価:☆☆☆☆

From Hell

From Hell、邦題「フロム・ヘル」

fromhell.jpg

ジョニー・デップ、ヘザー・グラハム主演。
ヘザー・グラハム目当てで観るもあまり活躍しない。
デップ扮する天才刑事が19世紀末のロンドンに実在したジャック・ザ・リパーを追う、という話。天才刑事というかほとんどサイコメトラーなのだが。
ヒロインは脇役だし、ロボトミー手術とか出てくるし、ジャック・ザ・リパーにはっきりした動機や計画がありターゲットも絞られていたという設定に萎えるし、主人公は金田一耕助顔負けの役立たずと来る。映像が綺麗だからか、そんなにダメ映画に見えないのが不思議。

好み評価:☆☆1/2

Friday the 13th

Friday the 13th、邦題「13日の金曜日」
有名な、殺人鬼ジェイソンのシリーズ第一弾。結局ジェイソンは何者なんだ、という問いに答えるような内容は無く、血しぶきが飛ぶだけだった気がする。とにかくスプラッタ。

好み評価:☆☆☆

Made with dreamweaverMade with fireworksPowered by Movable Type 2.661Powered by Wandering Wind