Cinema No. 344

サスペンス・ミステリー

Da Vinci Code

davincicode_movie.jpgトム・ハンクス、オドレイ・トトゥ主演、「Da Vince Code」を観た。この映画、巷で叩かれているほど悪くないです。むしろ、素晴らしいとさえ思った。かなり原作に忠実に描かれていて、ストーリーの都合上省かれたエピソード等以外は、エンディングまで原作の描写そのままに描かれている。難点は、その上映時間の都合上、物語を早く進めるために、トムハンクス演じるラングトンがかなりありえない速度で謎を次々と解明していく様。ほとんど迷わないし、間違えもしない。原作のラングトンよりIQが3倍くらい高そうだ。とにかくとんとん拍子で物語が展開していく。自分は原作を読んでいるので元々謎解き部分には期待していないからかそこまで気にはならなかったけど、このストーリーに初めて触れる人には味気なさ過ぎるのではないか。そして、謎の解明に至るまでの思考がかなり省略されてもいるので、原作を読んでいない人にはほとんどついていけないんじゃないかとも思う。プロット自体はそんなにドラマチックではないので、予備知識の無い人には退屈かもしれない。特に、物語の背景として核の部分にあたる「聖杯伝説」は、一般常識として既に観客は知っているものとして扱われているので、この伝説に明るくなかったら結構厳しいと思う(これはネタばれではないはず・・)。中国人の友人と観に行ったのだが、この伝承は中国ではあまり一般的ではないらしく、やはりそこは謎解きの盛り上がりを共有できなかった。

最低限の予備知識としてあったらより楽しめると思った事柄を、追記に。(人によってはネタばれと感じる方もいるかもしれないので念のため。ダ・ヴィンチコードの醍醐味である薀蓄を楽しみたいと思う方はどうぞ)

でもね、そんなことよりも、僕は小説でもそうだったんですが、ラストのシーンにホントに感動したんです。映画版のエンディングは、僕が小説を読んだ際にまさにイメージしたとおりに演出されていて、結末も謎解きも全て知っていたにも関わらず、じわーーっと来てしまった。エンディングはダ・ヴィンチコードの中でもおそらく最もフィクションな部分の一つだろうけど、それでもその瞬間のラングドンの想いに想いを馳せると感動せずにはいられません。原作を読まずに映画を観た人で、ラストを「はぁ?」と思った人は、小説のエピローグだけでも読んでみて!

好み評価:☆☆☆☆

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Memories of Murder

satsujinnotsuioku.jpg殺人の追憶を観た。ソン・ガンホ、キム・サンギョン主演。空前の捜査態勢にも関わらず迷宮入りに終わった実在の未解決連続殺人事件を元に作られた話。捜査に関わる刑事達が次第に精神的に追い詰められていく様が、かなりの緊迫感と共に描かれる。けど笑えるとこは腹をかかえて笑えるからそこがさすが韓国映画というところ。しかしこの映画、怖い。観てもらえれば分かると思うけど、何もホラー的な要素はないんだけれども、ストーリーと登場人物の心情に思いを巡らせながら役者達の表情を見ていると自然と鳥肌が立ってくる恐ろしさ。これは面白い映画です。

好み評価:☆☆☆☆

Original Sin

poison.jpgポワゾン、原題「Original Sin」を観た。アントニオ・バンデラス、アンジェリーナ・ジョリー主演(濃い)。邦題のセンスは巷で言われているほど悪くないと思った。舞台は19世紀末のキューバ。大富豪の主人公が、特に愛は要らないけど妻と子供は欲しいということで、身分を隠して新聞で妻を募集し、文通の末一人のアメリカ人女性と結婚することに決まった。しかしキューバにやってきたその女性は文通相手の写真とは全くの別人だった、という出だし。仰々しく成人指定、ということだったけれども、そんな大げさなものではなく、サスペンスとしてもラブストーリーとしてもいい映画でした。ジョリーがいかにもファムファタールという感じで宣伝されていたけれども、観終わった後はどちらかというと悲劇のヒロインという印象。前半の展開はありがちで、映像やキューバを再現した風景や衣装の美しさくらいが見所だけれども、後半は一気に展開のスピードが上がり引き込む。割と満足できた作品でした。

好み評価:☆☆☆

Original Sin

poison.jpgポワゾン、原題「Original Sin」を観た。アントニオ・バンデラス、アンジェリーナ・ジョリー主演(濃い)。邦題のセンスは巷で言われているほど悪くないと思った。舞台は19世紀末のキューバ。大富豪の主人公が、特に愛は要らないけど妻と子供は欲しいということで、身分を隠して新聞で妻を募集し、文通の末一人のアメリカ人女性と結婚することに決まった。しかしキューバにやってきたその女性は文通相手の写真とは全くの別人だった、という出だし。仰々しく成人指定、ということだったけれども、そんな大げさなものではなく、サスペンスとしてもラブストーリーとしてもいい映画でした。ジョリーがいかにもファムファタールという感じで宣伝されていたけれども、観終わった後はどちらかというと悲劇のヒロインという印象。前半の展開はありがちで、映像やキューバを再現した風景や衣装の美しさくらいが見所だけれども、後半は一気に展開のスピードが上がり引き込む。割と満足できた作品でした。

好み評価:☆☆☆

JSA

韓国映画、「JSA」を観た。

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北朝鮮と韓国を分ける38度線、南北双方の行政管轄外に置かれている特殊な区域、「共同警備区域」を舞台にした悲劇。

11発の銃声、2つの死体。現場に残っていたのは10発の弾丸、現場に居合わせた南北の兵士2人。黒澤明の「羅生門」のように証言が食い違う。そして消えた1発の弾丸の行方。サスペンスとして観ても引き込む導入。女性捜査官がお互いの証言の矛盾に気づき、真相に近づいていく。そこには、南北の運命に翻弄される悲しい友情の物語が、っていう話。

北朝鮮と韓国の間の軋轢に関してほとんど何も知らないけれど、この両国が抱える問題の深さ、悲しさを垣間見ることができるという意味だけでも、この映画は観る価値がある。「シュリ」でも南北の断裂が生んだ悲劇を描いていたけれど、シュリとは全く違うアプローチで問題を捉えようとしたこの作品では、兵役に着いている人たちにすればありえないかもしれないけれど、一般的な感覚では十分ありえそうな、感情移入の比較的容易な設定を持ってきたおかげで観るものにとってはよりリアルに感じられるのではないだろうか。

映画自体も、プロット、映像、編集、演技、全て一級だったように思う。唯一残念だったのが、英語を話すスイス人役の人物が全く演技できてなかったことか。日本映画でもよくあるけど、外国語を話す場面だと演技できてるのかどうかどうでもよくなってしまうのか、適当な役者や適当な演技で満足している部分があるように思う。他の役者の名演の中で、こういう三流の役者が混じっていると、演技じみた演技に一気に作品世界から引かされてしまう。些細なことだけど、惜しいだけに気になってしまいました。

好み評価:☆☆☆1/2

Mystic River

クリント・イーストウッド監督作品、「ミスティック・リバー」を観た。
主演:ショーンペン、ティムロビンス、ケビンベーコン

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貧しい町に育った三人の幼馴染は忌まわしい事件によって引き裂かれ、25年後、殺人事件の捜査を担当する刑事と、その被害者の父親と、容疑者として再会する。
全体に、息が苦しくなるような喪失感と怒りが充満していて、終始落ち着いた映像で、物語は陰鬱に、危険な方向に転がっていく。

サスペンスっぽい展開をするけど、人間のダークサイドを描き出した人間ドラマがメインと思われる。

とんでもなく作りこまれた力作。だけど、重い。
すべてのシーンが慎重に描かれて、プロットも巧妙で観る者を引き込むし、役者さんたちの演技も素晴らしいけど、観た後の不快感からやっぱりこの映画を評価することができない。

クリント・イーストウッドが監督としてもここまで出来るってことが驚き。すでにアカデミー賞を受賞しているイーストウッドだけれども、立て続けに傑作を生み出すってのはただ事じゃない。この映画では更に驚いたことに音楽も担当していた。そっちのほうは大して印象を残しているわけじゃないけど、映画のために生まれてきたような人なんだろうなぁと恐れ戦いてしまいます。

好み評価:☆☆☆1/2

玉観音

中国映画、「玉観音」を見た。英題、「JADE GODDESS OF MERCY」

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最近中国の映画を見るのが好きです、と中国語の先生に話したら、次の授業の時に中国映画のDVD貸してくれた。しかも、少林サッカーを見てヴィッキーチャオは綺麗ですね、って話をしたので、ヴィッキーチャオ主演の最新作のDVDを持ってきてくれたのだ。嬉しかったなぁ。ありがとう、マー老師。

で、肝心の内容なのだけど、もしかして、と思っていたけど、やはり英語字幕とかはつかないわけで、中国語のセリフに、中国語の字幕。(中国では、多くの言語を話す人が混在するので、TVや映画には大抵中国語の字幕がつく。例えば広東語と北京語のように、発話を聞くと完全に違う言葉でも、字にすると全く同じなのだ。)まぁいっかーと思いそのまま鑑賞。当然細かい内容は分からないのだが、終わってみると結構分かった気がする。わりと感情移入できたし。

せっかく借りたありがたい作品だったけれど、話はちょっとつまらなかった。つまらない、というより、後味が悪すぎる・・・ 

一目ぼれをした相手が、実は昔麻薬捜査官で、過去に悲しい事件があり、一旦くっついたと思った男の元から置手紙を残して去っていく。物語は、その過去の事件の回想がメインで、最後にちょこっと元の時代に戻ってきて、過去の因縁がからんだ復習劇が繰り返される・・・というどろどろの悲劇です。話のテンポはいいんだけど、暗い。

ヴィッキーチャオが相当目の保養になったのでよかったですが。

好み評価:☆☆

From Hell

From Hell、邦題「フロム・ヘル」

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ジョニー・デップ、ヘザー・グラハム主演。
ヘザー・グラハム目当てで観るもあまり活躍しない。
デップ扮する天才刑事が19世紀末のロンドンに実在したジャック・ザ・リパーを追う、という話。天才刑事というかほとんどサイコメトラーなのだが。
ヒロインは脇役だし、ロボトミー手術とか出てくるし、ジャック・ザ・リパーにはっきりした動機や計画がありターゲットも絞られていたという設定に萎えるし、主人公は金田一耕助顔負けの役立たずと来る。映像が綺麗だからか、そんなにダメ映画に見えないのが不思議。

好み評価:☆☆1/2

8 Femmes

フランス映画「8人の女たち」

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フランスの大物女優8人を集めて、その8人だけが登場人物っていう豪華な企画。
説明がややこしいのでgoo映画から引用。

解説

殺人事件が起こった大邸宅の中で繰り広げられる女性ばかりのミュージカル。監督・脚本は「まぼろし」のフランソワ・オゾン。出演は「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のカトリーヌ・ドヌーヴ、「彼女たちの時間」のエマニュエル・ベアール、「ピアニスト」のイザベル・ユペール、「星降る夜のリストランテ」のファニー・アルダン、「ザ・ビーチ」のヴィルジニー・ルドワイヤン、「焼け石に水」のリュディヴィーヌ・サニエ、「肉体と財産」のダニエル・ダリュー、「エリザ」のフィルミーヌ・リシャール。2002年ベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀芸術貢献賞)受賞。

あらすじ

1950年代のフランス。雪に閉ざされた大邸宅に、クリスマスを祝うため家族が集まってきた。そんな時、メイドのルイーズ(エマニュエル・ベアール)が、一家の主人が刺殺されているのを発見。容疑者は邸宅に集まった8人の女たち。家族愛を吹聴する祖母のマミー(ダニエル・ダリュー)は株券を持ち、実は相当に欲深い。妻のギャビー(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、夫の共同経営者と浮気をしているらしい。妹のピレット(ファニー・アルダン)は元キャバレーのダンサーで、お金のトラブルを抱えていたようだ。ギャビーの妹のオーギュスティーヌ(イザベル・ユペール)は欲求不満のオールドミスで、殺された義兄に好意を持っていた。清楚な長女スゾン(ヴィルジニー・ルドワイヤン)も、勝ち気な次女カトリーヌ(リュディヴィーヌ・サニエ)も、ルイーズも、黒人の家政婦マダム・シャネル(フィルミーヌ・リシャール)も、それぞれ怪しい。

とまぁ、こういう映画。ミュージカルとして観るには少し物足りないけど、エマニュエル・べアールが好きなので満足。話は結構真面目に展開してそうなんだけど、ところどころに入る歌が、どれもひどく音痴で、歌詞もやっぱり真面目そうなんだけど、なぜか笑える。振り付けも笑える。見終わってみると、総じて笑える映画だった。

好み評価:☆☆☆

無間道

トニーレオン、アンディーラウ主演、「インファナルアフェア

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原題は「無間道」。仏教用語の無間地獄から来てる。無間地獄は確か一番最下層の地獄で、作中のメッセージにもあるけど、ずっと続く苦しみを味わうところ。infernal affairsは直訳すれば地獄の出来事、でちょっとタイトルと内容を結びつかせ辛いけど、英題のほうが響きはいいな。

とにかく脚本が凄い。警察とマフィアの対決モノなのに、アクションシーンが殆ど無い。それなのに物凄い緊張感。演出と脚本と複線の使い方が巧いからだろう。そして役者が渋い。ケリー・チャンとか主人公周りに何人か女優出てくるけど、はっきり言っていらない。この作品で初めてケリー・チャンちょっとかわいいと思ったけど。

プレビューで出てた次回作にも期待。

と思って今調べたらこれ三部作なのね。流行ってるのかな三部作・・・
一応三部で完結して、無間道3も香港では上映されたみたいなのであとは日本での公開を待つだけ。あー続き物は全部出てから一気に観るのが好きだったのに・・また吹き替え版借りてきてしまったし。

いずれにしろ、香港映画が久しぶりにやってくれました。

好み評価:☆☆☆☆

Snow Falling on Cedars

Snow Falling on Cedars、邦題「ヒマラヤ杉に降る雪」
工藤夕貴がヒロインとして出演している。
あるアメリカの島で起こった事件に、無実の日系二世ミヤモトが偏見から有罪へとされていってしまう話。その二世の妻が工藤夕貴演じるハツエなのだが、この裁判を中心にミヤモトの過去や物語のキーパーソンとなるハツエの少女時代の恋人などのエピソードが織り交ぜられていく結構複雑で深い話。かなり切ない。
この映画の原作を、高校の授業で読んだのだが、主人公の名前が「Kabuo Miyamoto」になっていたのは爆笑ものだった。映画や日本語訳の小説ではしっかり「Kazuo」になっていたのもまた面白い。

好み評価:☆☆☆☆

Primal Fear

Primal Fear, 邦題「真実の行方」。
リチャード・ギア、エドワード・ノートン主演。
殺人事件で起訴されている二重人格の青年とその弁護士の物語。
この映画は凄い。役者の演技が物凄いですよ。二重人格を演じるノートンの演技は圧巻。
一時この作中ノートン演じる「アーロン」のモノマネが流行った。

好み評価:☆☆☆☆

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