エマニュエル・ベアール主演、「フランスの女(原題:Une Femme Francoise)」を見た。
フランスを舞台に、第二次大戦から植民地戦争までの激動の時代を生きた、一人の女性の愛と苦悩の軌跡を描いたドラマ。夫と子供がありながら、ある男性を愛したジャンヌは一途に愛を貫こうとするが、家族はもちろん自分自身の人生までも狂わせていく。 -「DVD NAVIGATOR」データベースより-
エマニュエル・ベアールが主演ということで手に取ってみた。この「フランスの女」というのは以前小説版を読んだことがあったはずなのだが、内容をさっぱり忘れていたので気持ちよく見れた。監督が自分の少年期に見た母親の思い出をベースに脚本を書いたらしく、「女の強さ」というのを見せ付けるような内容。とにかくエマニュエル・ベアールが美しい。もう全編通して感想はほとんどそれだけ。エマニュエル・ベアール好きなら必見です。
好み評価:☆☆☆1/2
新海誠監督、「ほしのこえ」を見た。9月に見た彼の作品に感銘を受けて、その時から見たいと思っていた短編映像作品。彼に関する前回のエントリーでさんざん褒めたけど、今回ももう何と言ったらよいか・・・
とにかく異様なほどのクオリティの高さ。映像の美しさ、カメラワークの巧みさ、演出のセンス、どれをとってもその辺の映画にはなかなか見られない。カメラワークのセンスで言うならホントハリウッドにも見習って欲しいくらい。脚本の、というかdictionのセンスも個人的に大好きで、ストーリーも30分にも満たないこの短さで、ラストにはぐわぁーっと感動させられた。この作品を人に勧めるにあたって、これが「マック1台でほぼ一人で制作された」ということなんて全く持ち出す必要は無いということがわかった。映像特典に収録されている、「彼女と彼女の猫」という5分程度の短編も凄くいい。アニメアレルギーが無い人ならば、新海作品は必ずチェックするべきです。
それから、この作品を配給や流通にこぎつけさせたComix Waveという会社に興味が湧く。こういうクリエイターを世に出す、ということはそれだけで凄いことだけど、悪く言えば「アマチュア」なわけで、それでビジネスを回そうと思ったら大変なリスクだろう。どうやってクオリティコントロールしてるのかな・・
今も何か凄い企画をまわしているみたいだ。
才能を世に送りだす、って素敵な仕事だよなぁ。
好み評価:☆☆☆☆
宮崎駿監督、森山周一郎、加藤登紀子主演。10年ぶりくらいに見たけど、これはホントいい映画だね。心が洗われるような綺麗な映像とお話。
オハイオ州に住んでいた小学生だった頃、そこに住む日本人の子供達のために補習校かどこかの団体が、紅の豚の上映会を開いてくれたんだった。20人くらい入る部屋に大きめのプロジェクターで。あの時は、ここまで良い映画だとは思ってなかったなぁ。渋い映画です。
好み評価:☆☆☆☆
アンディー・ラウ(劉徳華)主演の香港映画、「童夢」を見た。義理の母と暮らすのが嫌で、何かあるたびに家出をしては父に連れ戻される12歳の少年が、ある日成長を速める薬を開発した怪しい科学者と出会い、その薬を使って完全な家出を試みる。大人の姿になった少年が、普段は見れない視線で人と接し、成長していくファンタジー。大人の姿だけど中身は12歳のあどけない少年という役をあの渋いアンディー・ラウがこなす。演出も斬新ではないが結構凝っていて、映像もとても綺麗。アンディー・ラウの特殊メイクもかなりよかった。ストーリーの流れも、寓話としての王道を抑えていて好感が持てる。全体的にバランスのよく取れたファミリー映画だった。
好み評価:☆☆☆
日本でこの映画がリリースされるのか不明だけど、一応以下ネタバレの感想。
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最初は大人になって、改心した少年が家に戻り、お母さんと和解してhappily ever after、という流れかと思っていた。だってファミリー映画だし。
でも、アンディーはこういう変化を辿り始め、物語の雲行きが怪しくなっていく。
アンディーの成長と老化
途中、子供には話さない大人の本音や、大人同士の人間関係などに触れ次第に成長していった少年は、素直な気持ちで子供として父に会いたいと願い、怪しい科学者を探し当て、元に戻してくれと泣き叫ぶ。その頃少年はもう老人の姿になっていた。だけど、科学者は「生命は一方通行、元に戻ることなんてできない」と突き放す。そのすぐ横で、少年と同じく成長を速める薬を与えられて巨木となっていた木が枯れて倒れる。
えぇー、って思ったけど、反省して許してもらった、なんていう安易な結末よりメッセージ性は強くなるかも。そしてこの映画のメインメッセージは、おそらくこの後の展開だと思う。
少年は諦めて、その姿のまま家族と和解することを試みる。よぼよぼの老人姿になった少年は、「誰もが自分には時間があると思っている。僕以外の誰もが。」と呟く。そしてさらにもう一歩成長した少年は、父親のせいでばらばらになってしまった家族を再び幸せにすることを父親に諭す。この辺の展開は速くてちょっと雑なんだけど、言いたいことは分かる。そして母親と和解し、家族の絆を最後に繋ぎとめて、少年は死ぬ。
死ぬシーンは描かれていないけれど、最後に母親と和解したまま目を閉じていくシーンはそういうことだろう。そして物語は明るい音楽で、幸せなムードに包まれながら終わる。
主人公死んじゃってるけど、ハッピーエンド。いたずらに死の報い、という残酷な一面もあって、まさに寓話らしい映画だった。後味は不思議と悪くなかったんだけど、でもやっぱり改心した子供が死ぬってのは心が痛む。なんとかならなかったんかなぁ。。。なんて真剣に考えてしまった。
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