Log No. 344

除夜

今年の春節(日本の旧正月)は2月9日。全土で多くの中国企業が2月7日や8日から、7〜10日間のシャットダウンに入る。春節には、たとえ何歳になろうとも親がいる人は皆親元へ帰省するというから、全国的な民族大移動が行われる。街は大荷物を抱えたこれから帰省する人と、帰省しに来た人たちで溢れている。大荷物のほとんどはお土産だそうだ。凄まじい量のお土産。この一週間で多くの人が給料の2,3か月分を平気で使い果たすそうだ。貧しい人も、日ごろコツコツと貯めたお金をここぞとばかりに放出するというから、半端な景気ではない。街中ではひっきりなしに爆竹と花火の轟音が聞こえてくる。

2月8日は旧暦の除夕(大晦日)。すでにシャットダウンに入っていたので暇で仕方がなかったが(こっちでできた友人はほとんど田舎に帰省してしまっている)、間借りしているオフィスの女性が夕方電話をくれて、今から来い、ということになった。彼女のご両親の家に、家族が集合するところに混ぜてもらう形になった。こういう展開を期待してシャットダウン前日の大掃除中に、春節暇だなぁ一人で寂しいなぁ、と大げさにぼやいてみた甲斐があった。

誘ってくれたこの方、年の頃は30代半ば、ファイナンスの専攻で大学院を出ており、流暢な英語を操る経理の女性、オフィスの皆から劉姐(リウジエ、日本語だとリュウねぇちゃん、という感じか)と呼ばれ親しまれている。

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集まったメンバーは、劉姐、劉姐のご両親、劉姐の妹夫婦と弟夫婦、愛犬宝宝(バオバオ)、そして僕。一見古びたマンションだが、入ってみるとアメリカンな感じの内装のとても綺麗な3LDKだった。正直その綺麗さに驚いた。お父さんは元海軍の退役軍人さんで、且つ元党員でもあったらしい。弟さんは現役の政府のお役人さんだ。なんとなく納得した。

お正月の伝統料理である餃子が出てくるのを、居間のソファでお父さんと二人きりで待った。大連の、元軍人さん。日本と少なくない因縁があるはずだった。突然現れた日本からの来客をどう思っていただろう。日本のことを色々聞かれた。今の天皇の名前ってなんだっけ、とか、日本の若者って政治に興味ないってホント?とか。あと犬好き?とか。わりとお茶目な感じの印象だった。

やがて何種類もの餃子と、親戚の農家から直接分けてもらったという豚と鶏の豪華な料理がテーブルいっぱいに並んだ。皆で中国の年越しの定番番組である「春節連歓晩会」を見ながら歓談した。ちなみにこの番組、瞬間最高視聴率97.8%と言うから凄まじい。聴覚障害者だという人々による千手観音をイメージした演舞がとても幻想的で印象に残った。

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11時を回り、そろそろ、ということでおいとました。部屋に帰ると、地上14階の窓からとんでもない光景が目に飛び込んできた。数キロ先まで、見渡す限り一面花火の海なのだ!まるで花火の花畑だ。花火大会であるようなあの花火が、街のいたるところから打ち上がっている。当然うちのマンションの真横の路地からも上がっており、花火の破片が窓にコツコツ当たる。爆竹の鳴りようも凄まじい。祝い方の、スケールが違う。日本の大きなお祭りでも数万発の花火を打ち上げるが、この夜打ちあがった花火の数は見渡す限りだけでも数十万発はあったんじゃないだろうか。市全体なら数百万発いったかな。とにかく凄かった。その騒動は夜中の2時頃まで続いた。初めて味わう中国の年越し。なかなか興奮した。

Posted by 344 at February 16, 2005 11:32 PM | コメント (0) | トラックバック (0) | Clip!! | Edit

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