Log No. 344

November 2005

November 30, 2005

慟哭 (アマゾン社の反則)

doukoku.jpg貫井徳郎著、「慟哭」を読んだ。成田空港で表紙買いした。そのちょっと前に北村薫の作品を読んでいて、その人が帯の紹介文を書いてていて目にとまった、というだけの理由だけど (勘違い。僕が読んだのは「高村薫」さんの作品だった。勘違いしたまま購入したのですが、とにかくこういう経緯)。連続殺人事件を追う刑事と、連続殺人犯の対決を描く本格ミステリー長編。記者会見での捜査情報公開に対する葛藤、エリート刑事の孤独とプレッシャー、仕事により崩壊する家庭、そして新興宗教。面白いテーマが沢山ちりばめられているが、中でも新鮮だったのが、マスコミと警察の情報公開に関わる問題の難しさの描写が細かかったことだ。やっぱり警察ってのは大変な職業だと改めて思い直せます。帯にも書いてあるが、まさに「仰天」のラストは圧巻でした。文章が渋くてなかなか読み応えがあった。ホントに、たった一つの「しかけ」だけの小説で、それがちょっと物足りないけど、そのワンアイディアを上手く活かしきった良作。

これは、友人等に勧める際にも、絶対に「ネタバレ厳禁」の類の本だ。トリックをほのめかすだけでもいけない。しかしこの作品、驚いたことに、amazon.co.jp他多数のオンライン書店の内容紹介で、その作中唯一にして最大の「しかけ」とも言うべきトリックが、完全にネタバレされてしまっている。「MARC」データベースとやらからの引用らしいが、これは酷い。はっきり言ってこの400ページを超えるテキスト量は、最後にその事実が読者に明らかにされ、思わず空を見上げてしまうほどに驚かすためだけの材料と言っても過言ではないはず。それを読む前に明かしてしまったら、驚かすためのような小説に驚けなくなるので、はっきり言って400ページ読むのが無駄になる。ミステリーというジャンルにおいて、あまりにも致命的なミスである。

アマゾンと言えば世界最大級のオンラインショップだ。その影響力を考えると、著者への損害は甚大だろう。これだけの驚きをもたらせる文章力と構成力を持っているのに、だいなしだ。なにより、この作品を楽しみに購入ページを訪れた読者に対してあまりにも酷い仕打ち。アマゾンへ指摘メールを送ってみた。

November 29, 2005

ORF−奥出研強し

ちょっと遅れた記事になってしまったけど、先日六本木ヒルズで、母校SFC恒例イベントの「ORF(オープンリサーチフォーラム)2005」があった。SFCの研究室の研究成果発表大会みたいなイベントです。

ITmediaの紹介記事

僕が所属していたゼミも毎回出展していて、今回も活躍したそうだ。kogaのおいっすぺで奥出研ブースレポートがあったけど、皆の顔が久々に見られてよかった。行けなかったのは残念だけど、相変わらずレベル高そうで嬉しかった。奥出研のみんな、お疲れ様でした。

それにしても。
奥出研ORF用特設サイトを見たが。
今年の奥出研やヴぁくないか?!特に実装力が。ウェブも凄く良く出来ててびっくりです。

久々に公式ウェブを覗くと、僕が所属していた頃のプロジェクトもちゃんと記録されていて(正確にはその後も継続して研究が続けられたからだろうが)、またもやちょっと嬉しくなる。研究は進んでいるんだろうか?

皆さん体を壊さないように頑張って欲しいものです。

November 25, 2005

母校チーム、一年の終わり。ある後輩への思い入れ。

今年も全日本大会が終わり、母校の空手チームの一年が終わった。
かなり強いチームだったんだけど、今年も全日本で結果を残すことができなかったようだ。非常に残念。

だけど。公式サイトにアップされる戦績を見ていただけだけど。一人の選手の成長をその戦績から見てとることができて、目頭が熱くなってしまった。チームで勝ってこそ喜ぶべきなのに、その一人の選手の戦績に抑えがたい喜びを感じてしまった。以下はその彼への超個人的な思い入れである。

僕が高校3年の頃、高校1年の彼が入部してきた。強くなってほしくて毎日筋トレに連れ出した。
彼が大学に進学してきたとき、騙すように彼を大学空手部の輪に放り込んだ。
僕が部を離れ、数年ぶりに道場の練習に復帰した際、「先輩、そこはこうしたほうがいいです」と空手の技術について指摘された。驚きと多少の悔しさと、変な嬉しさがあった。

いつか気づくと、彼は立派な形の選手になっていた。形の強豪校と互角に渡り合うほどの。
そしてしまいには、そんな彼が組手の舞台でも一線で活躍する選手へと成長してくれたのである。

僕らが空手を習ったNY高には、試合が無かった。素晴らしい指導者には恵まれていたが、試合制度については、僕らは何も知らなかった。大学に入って、初めてその世界に入る。試合に関しては、形も組手も、大学で一からやるのだ。

周りは小さい頃から試合に揉まれてきたツワモノも多く、団体戦に出場できる5名に選ばれるのは並大抵のことではない。出られる奴は1年の頃から出られるし、出られない奴は4年間血を吐くような努力を続けても出られない厳しい世界。この伝統ある部の中で、NY高出身の選手が大きな大会でその舞台に立つところを見たことが無い。

けど、今回の全日本大会の試合結果に、彼の名前があったのだ!しかも個人的な結果は鮮やかな勝利だったと言う。全日本だけでなく、早慶戦でも、関慶戦でも、見事な勝利を飾ったようで、それがまぐれではなかったと思わせる。四年間続けてくれただけでも本当に嬉しかったというのに、この記事を読んだ時の僕の感動は推して知るべしである。是非直にその姿を見たかった。彼も今年で引退、あれほどの舞台で彼の試合を見ることはもうこの先無いだろう。今年一年間中国で活動しているが、これほど日本を離れてしまって悔しいと思ったことは無い。

でもとにかく、本当に彼の成長が自分のことのように嬉しかったのです。

しかし全日本でチームの負けが決定する瞬間=4年間の集大成が終わる瞬間のあの何ともいえない辛さは当然皆味わうことになったわけで、そもそも裏方も応援している選手も含めて誇るべきなチームであり、一人の部員を贔屓にするなんて時点でおかしいのだから、僕がこんなことを書くのは相当不謹慎なんだろう。もちろん全日本と関慶戦での敗退は本当に悔しい。だけど、彼について喜ばしいと思ったことも事実で、どうしてもそれを書かずにはいられなかったのです。部の関係者にこのエントリーを読まれないことを祈るのみです・・・

とにかく、今週でこの代も引退。お疲れ様でした。次期主将(僕が現役4年の頃の1年か・・・)とそのチームに、来年こそ悲願を達成できるよう、中国からエールを送りつづけていきたいと思います。

November 22, 2005

これから大連に住もうかなという方々へ(転載)

ご近所に住む友人のC☆さんの日記@mixiに面白い記事があったので、許可を得て転載させて頂きます。彼女は大連での一年間のインターンを終えてもうすぐ帰ってしまうんだけど、これまでの生活上の経験から「モノ」についていろいろまとめてくれた。ご本人も断っているとおり、完璧なリストではないのかもしれないけれど、「日本人が関わるモノ」という観点から大連がどういう街かを上手く現している。

(注:正確な情報を発信することは大切ですが、つっこみはお手柔らかにお願い致します!)

以下転載------------------------------------------------------
■持って来て後悔した物:理由
【MDプレーヤー】:中国にMDは無い。mp3プレーヤーが普及している。
【CDプレーヤー】:変圧器を使って聞くくらいなら買った方が安い。
【洗濯干しロープ,ハンガー,洗濯挟み】:2元ショップで買える。
【タッパー】:何処のスーパーでも日本の半額〜同額程度で買える。
【クレジットカード】:VISAもJCBも何処で使えるのか分からない。Masterが一番ましかもしれないが、とにかく使えない。Apple公認店ですら使用不可。中山大酒店、ハイモール和平広場店の15番レジと天天漁港本店、中山大酒店の飲茶でVISAが使用できる事を確認。JCBは外国語学院近くのイタリア料理店ラ・カフェ・イゴッソで使用可能。中国の銀行のデビットカードさえ持っていれば万事OK。デビットカード普及率は日本の比ではない。
【国際キャッシュカード】:あくまで海外旅行用であって、住む場合は発行できないと東京三菱銀行の窓口で押し問答。上司が出てきて何とか発行はして貰った(手数料1000円)が、何処で使えるのか分からぬまま盗まれた。再発行手続きは本人が日本でしなければならない。お陰で帰国直後は金もおろせず文無し。
                
■持って来て良かった物:理由
【電子辞書(Canon WardTank V-70)】:読めない漢字を書いて検索可。
【テレコ】:こちらでも25〜50元程度で買えますが、既にお持ちなら。勿論、勉強用。海外のラジオも聞けるとより◎。
【カスピ海ヨーグルト,ケフィアの種】:無糖ヨーグルトは外資系でも入手不可。
【手帳】:システム手帳に該当する物が存在しない。昨日初めて発見したが、日記帖か!?ってぐらい大きくて実用性低。
【ジップロック(袋)】:売っていません。冷凍保存用に。
【ボールペン】:書けないor直ぐに書けなくなるペンなら売っているが、まともに書けるペンを数本所持しておきたい。
【化粧品】:ハングルの成分表が読めない。怖くて使えない。香料がきつすぎて肌が荒れそう。

■持ってこなくて後悔した物:理由
【USBオーディオ変換アダプタ】:iBookにはマイク端子が無いのでスカイプしづらい。USB対応ヘッドホンマイクセットは売っていない。教材のテープをiTunesに取り込みたい。
【赤マーカーと緑の下敷き】:よく中学生が使っているやつ。勉強用。
【プリンタ・スキャナ】:背負ってでも頑張って持ってくれば良かった。電子城にてMac対応の周辺機器は無いと言われた。

■後から持って来て(送って)貰った物:理由 ※食品ばかり
【各種CD-ROM】:ここまでMac対応のソフトウェアが何も無いとは想像しておらず。父に送って貰いOS再インストール。
【マキロン】:消毒液は個人に販売してくれない。
【ホッカイロ】:日本限定?中国には無い。冷え性ならば。
【各種ハーブの種】:バジルと紫蘇が無い食生活に耐え切れず。
【各種ハーブ】:バジル,タイム,マジョラム,シナモン…e.t.c.
【オリーブオイル】:イタリアンには必須。
【ワインビネガー】:米酢でも構わないといえば構わないが…。
【鰹節】:豆腐やもやしを食べる時に無性に掛けたくなる。
【鰹だしの素】:帆立だしの素は買えるが、鰹は何故か無い。or高い。
【みりん】:マイカルでとんでもない値段で販売されている。
【おたふくソース】:同室が関西人な為。関東人は無くても困らない。
【麺つゆ】:うどんも蕎麦もチューブわさびも普通に手に入るのにつゆも鰹だしも手に入らないが故に食べられない。
【ポッカレモン】:レモンは恐ろしく高価。1斤5元〜
【寒天】:杏仁豆腐すら存在しない大連。
【魚焼き用の網と鉄板】:台所に魚焼きグリルが無く、市場に並ぶ魚達をどう調理すればいいのか分からない為。

■送られてきたけれど要らなかった物:理由
【昆布とワカメ】:ここは北の海。昆布もワカメも大連の名産品。
【マヨネーズ】:キューピーマヨネーズは何処のスーパーでも入手可。しかも好きじゃない。
【黒胡椒】:何処でも買える。

■個人的には必要無いけれど一般的に言われる必要な物:理由
ハードコンタクトだったかソフトだったか違いがよく分から
ないがどっちかが中国には存在しないとやらで騒ぐ人多数。

以前、人様に送った物ですが、折角なので保守。
個人的見解に偏りまくっていますが、これから大連に
移住予定がある方は参考にしてみてください。
1年間の生活で得た情報です。

転載ここまで------------------------------------------------------


どうでしょう、大連という街のイメージは何か掴めましたでしょうか。
しかしこれ、大連に来る前に見たかった。

真夜中の5分前 Side-B

mayonaka_B.jpg本多孝好著、「真夜中の五分前 Side-B」を読んだ。以前続きがあるとは知らずにSide-Aしか持っていない友人に借りて読んでしまったので、今回母と祖父が訪連した際に買って来てもらった。Side-Aは文体と独特のテンポが凄く気に入り、満足していたのでSide-Bもわくわくしながら読んだ。その期待があったからなのか、どうもSide-Bは満足できなかった。Side-A、Side-Bと無理矢理2冊にわけただけあって、物語の雰囲気ががらりと変わっていて確かに驚いたが、そのひねりが活かしきれていないように感じる。それに話がやけに短く、いかに雰囲気が変わると言ってもマーケティング上の都合以上に2冊に分ける必然性を感じなかった。

もっと言うと、Side-Bでの文体は斬新さを越して嫌らしい感じすらした。独自の比喩や言い回しを試そうとしているのだろうがあまりにも不自然で、完全にマイナス効果だったように思う。少なくとも自分はそういった表現や描写が出るたびにうんざりした思いにさせられた。村上春樹の初期の作品(羊をめぐる冒険など)にも、同じ理由で嫌悪感を感じたものだ。

物語的にも、確かに面白いテーマをついているなと思ったが、それを描ききった、とは言えずSide-Aでの複線消化に使われた部分が多かったように思う。一部の複線の消化を無視すれば、Side-Aで完結させていてもなんら問題はなかったんじゃないかな、と。読者としては。

Side-Aで感じたような好感もこの人本人のものには違いないので、今度彼のミステリーを読んでみようとは思っている。

November 11, 2005

童夢

tongmeng.jpgアンディー・ラウ(劉徳華)主演の香港映画、「童夢」を見た。義理の母と暮らすのが嫌で、何かあるたびに家出をしては父に連れ戻される12歳の少年が、ある日成長を速める薬を開発した怪しい科学者と出会い、その薬を使って完全な家出を試みる。大人の姿になった少年が、普段は見れない視線で人と接し、成長していくファンタジー。大人の姿だけど中身は12歳のあどけない少年という役をあの渋いアンディー・ラウがこなす。演出も斬新ではないが結構凝っていて、映像もとても綺麗。アンディー・ラウの特殊メイクもかなりよかった。ストーリーの流れも、寓話としての王道を抑えていて好感が持てる。全体的にバランスのよく取れたファミリー映画だった。

日本でこの映画がリリースされるのか不明だけど、一応以下ネタバレの感想。

続きを読む...
November 07, 2005

僕の特別な本

kosukeyazの「独断と偏見で選ぶ良書10冊」を受けて、自分も選んでみよう。

僕も読書家には程遠いけれど「独断と偏見で」10冊特別な本を。小説という分野に絞ると、以下のとおりかな。他にもビジネス書や伝記、新書なんかでも影響を受けた本や、強い印象が残っている本は沢山あるのだけれど。しかし10冊って難しいな・・・

『細雪』 谷崎潤一郎 04
『金閣寺』 三島由紀夫 94、04
・『ノルウェイの森』 村上春樹 94、97、02、05
・『五分後の世界』 村上龍 96、98
・『カードミステリー (Kabalmysteriet 邦訳)』 ヨースタイン・ゴルデル 02
・『緋色の研究 (A Study in Scarlet 邦訳)』 コナン・ドイル 91
・『Lord of the Flies (蠅の王 原文)』 ウィリアム・ゴールディング 96 98
・『Catcher in the Rye (ライ麦畑でつかまえて 原文)』 J・D・サリンジャー 98 00
『燃えよ剣』 司馬遼太郎 04
・『はてしない物語 (Die Unendliche Geschichte 邦訳)』 ミヒャエル・エンデ 92
(リンクは過去の書評エントリー。数字は僕が読んだ年)

感銘を受けた名作ということならたった10冊選ぶなんてできないので、よく思い出す作品、ということで選んでみた。目の前にマイ本棚は無いし。あと著者一人につき一冊。kosukeyazも挙げていた「存在の耐えられない軽さ」は最近のベストヒットだったのだが、読んだのが最近すぎてこの基準だと外れる。ちなみにこれはkosukeyazが日本の活字に餓えていた僕に日本からわざわざ送ってプレゼントしてくれた本のうちの一冊。他にも沢山の良書を送ってくれた。貧乏学生なのに・・・
見返してみると、読書の楽しみを教えてくれた本たちが多い。読んだそれぞれの時期に、新しい楽しみ方を示してくれた本たち。あ、読んだ年を横に記してみよう。

そのうちノン小説10冊とかマンガ10冊とかやってみようかな。

大連最大級のダンスパーティー(?)

大連最大級のダンスパーティーという触れ込みのイベントへ中国人の遊び友達を誘って行ってきた。

一言で言うと「金返せ」ってくらいつまらなかった。大連最大級のはずが、その辺の「いまいち流行りきれないクラブ」くらいしか人が入っていない。フロアに人が実際に出て多少なりとも盛り上がれたのは長いパーティーの時間の間で1時間にも満たなかったんじゃないかな。イベントを成功させることの難しさを客ながら痛感させられたという感じ。

結局いつ盛り上がり始めるのか、と開始から3時間以上「耐えた」挙句、あまりのつまらなさに一緒に来た友達らは機嫌崩して帰ってしまった。今度埋め合わせをしないと。中国人フレンズは帰ってしまったので、25時くらいには会場にいた別の日本人の友人達と別の店へ移動し、朝まで遊んだ。

しかしこのイベントでは、日本人カンフーエンターテイナーJacKEEさんのパフォーマンスが見られると思っていたので、それを見られなかったのがとても残念。またどっかで見られることを期待しよう。

November 04, 2005

皇室ウォッチング

昼休み中に、従業員(中国人、漢族、女性、26歳)がネットサーフして遊んでいたようだ。何見てるんだろう、とちょっと見たら、なんと日本の皇太子一家の紹介ページを見てる。「私この人好きなんです」と雅子様を指す。横の朝鮮族の女の子が、えー、という顔で見ている。でも愛子様は可愛い、と。

いろんな中国人がいるんだなぁ、と。


ちなみにその後はなんかの細胞の画像を見てた。

Made with dreamweaverMade with fireworksPowered by Movable Type 2.661Powered by Wandering Wind