川島誠著、「セカンドショット」を読んだ。
電話がなっている。君からだ。だけど、ぼくは、受話器をとることができない。いまのぼくには、君と話をする資格なんてない。だって、ぼくは…。あわい初恋が衝撃的なラストを迎える幻の名作「電話がなっている」や、バスケ少年の中学最後の試合を爽快に描いた表題作、スペインを旅する青年の悲しみをつづった書き下ろし作品を含む、文庫オリジナル短篇集。少年という存在の気持ちよさも、やさしさと残酷さも、あまりにも繊細な心の痛みも、のぞきみえる官能すらも―思春期の少年がもつすべての素直な感情がちりばめられた、みずみずしいナイン・ストーリーズ。
以前「800」というこの著者の作品を読んで非常に良かったので、続いて彼の出している短編集に手を出してみた。これもまたいい作品集で、特に表題作の「セカンドショット」は秀逸。「電話がなっている」という作品は、最近ここまで後味の悪い話は無かった、というくらいインパクトがあった。星新一あたりがこういう作品を書いていてもそこまで思わなかったかもしれないけど、爽やかな中学生の物語集の中にこの作品が挟まれていたからその衝撃度が断然違ったものになっていた気がする。とにかく全体的にレベルの高い小説集だったように思う。中学時代にこれを読んでいたら、なんか下手に大きく影響を受けてしまっていたかもと思うと面白い。今読んでこそ面白い類の話だとは思うけどね。
Posted by 344 at May 14, 2006 08:07 PM
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