アンディー・ラウ(劉徳華)主演の香港映画、「童夢」を見た。義理の母と暮らすのが嫌で、何かあるたびに家出をしては父に連れ戻される12歳の少年が、ある日成長を速める薬を開発した怪しい科学者と出会い、その薬を使って完全な家出を試みる。大人の姿になった少年が、普段は見れない視線で人と接し、成長していくファンタジー。大人の姿だけど中身は12歳のあどけない少年という役をあの渋いアンディー・ラウがこなす。演出も斬新ではないが結構凝っていて、映像もとても綺麗。アンディー・ラウの特殊メイクもかなりよかった。ストーリーの流れも、寓話としての王道を抑えていて好感が持てる。全体的にバランスのよく取れたファミリー映画だった。
日本でこの映画がリリースされるのか不明だけど、一応以下ネタバレの感想。
最初は大人になって、改心した少年が家に戻り、お母さんと和解してhappily ever after、という流れかと思っていた。だってファミリー映画だし。
でも、アンディーはこういう変化を辿り始め、物語の雲行きが怪しくなっていく。
アンディーの成長と老化
途中、子供には話さない大人の本音や、大人同士の人間関係などに触れ次第に成長していった少年は、素直な気持ちで子供として父に会いたいと願い、怪しい科学者を探し当て、元に戻してくれと泣き叫ぶ。その頃少年はもう老人の姿になっていた。だけど、科学者は「生命は一方通行、元に戻ることなんてできない」と突き放す。そのすぐ横で、少年と同じく成長を速める薬を与えられて巨木となっていた木が枯れて倒れる。
えぇー、って思ったけど、反省して許してもらった、なんていう安易な結末よりメッセージ性は強くなるかも。そしてこの映画のメインメッセージは、おそらくこの後の展開だと思う。
少年は諦めて、その姿のまま家族と和解することを試みる。よぼよぼの老人姿になった少年は、「誰もが自分には時間があると思っている。僕以外の誰もが。」と呟く。そしてさらにもう一歩成長した少年は、父親のせいでばらばらになってしまった家族を再び幸せにすることを父親に諭す。この辺の展開は速くてちょっと雑なんだけど、言いたいことは分かる。そして母親と和解し、家族の絆を最後に繋ぎとめて、少年は死ぬ。
死ぬシーンは描かれていないけれど、最後に母親と和解したまま目を閉じていくシーンはそういうことだろう。そして物語は明るい音楽で、幸せなムードに包まれながら終わる。
主人公死んじゃってるけど、ハッピーエンド。いたずらに死の報い、という残酷な一面もあって、まさに寓話らしい映画だった。後味は不思議と悪くなかったんだけど、でもやっぱり改心した子供が死ぬってのは心が痛む。なんとかならなかったんかなぁ。。。なんて真剣に考えてしまった。
Posted by 344 at November 11, 2005 02:08 PM | コメント (0) | トラックバック (0) | Clip!! | Edit
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