川島誠著、「800」を読んだ。
なぜ八〇〇メートルを始めたのかって訊かれたなら、雨上がりの日の芝生の匂いのせいだ、って答えるぜ。思い込んだら一直線、がむしゃらに突進する中沢と、何事も緻密に計算して理性的な行動をする広瀬。まったく対照的なふたりのTWO LAP RUNNERSが走って、競い合って、そして恋をする―。青空とトラック、汗と風、セックスと恋、すべての要素がひとつにまじりあった、型破りにエネルギッシュなノンストップ青春小説。

100メートル走のマンガについて友人と話していた時にも思ったのだけど、こういった一見ただ走ってタイムを競うだけ、というようなスポーツは、ある意味分かり易いので観るほうもそれなりに興奮を覚えるが、その細かい部分での技術的な難しさや面白さはただ見ているだけではなかなか分かるようで分からない。こういった物語や細かい描写に触れて初めてより深いレベルでの競技性や醍醐味を知ることができるんだなと実感する。その意味でこういった作品は実に偉い。この作品も、800メートルという日本ではあまりメジャーとは言えない種目を取り上げていてその駆け引きの様子などがとても新鮮。これから競技を見る眼が変わるだろうなと思う。
Posted by 344 at January 15, 2006 02:56 PM | コメント (0) | トラックバック (0) | Clip!! | Edit
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