Log No. 344

蛍川

宮本輝著、「蛍川」を読んだ。
田舎の少年の思春期を描いた作品。昭和30年代の物語で、この作品は30年近く前に著者が30歳の頃に執筆したモノ。ということは著者の少年期も昭和30年代というわけで、当時の人々の様子や風景が非常にリアルに描かれているのだが、もしかしたら著者の少年期にみたものがベースになっているのかもしれない。そうだとしても、どうしてこんなに子供の心の機微が表現できるのだろうと唸ってしまう。全体的に空気は暗いけども、なぜか読んでいて胸の高鳴る良作。

この蛍川で芥川賞を受賞した宮本輝は96年からはこの賞の選考委員にもなっているそうだ(その他の委員は、池澤夏樹・石原慎太郎・黒井千次・河野多惠子・高樹のぶ子・古井由吉・三浦哲郎・村上龍・山田詠美)。今年もつい最近選考会があったとか。年々芥川賞の受賞層が若年化していってるみたいだけど、これは文学のレベルが昔と比べて進歩しているというより、毎年二回も選考する中で、あまりにもこれと言った人が少ないため、どんどん以前は存在すらしていなかった新たな才能へ新たな才能へと目線が移って行ってしまうからなのでは、と個人的には思っている。今年はどんな人が来るんだろう。

と思ってたらもう発表されてたや。

Posted by 344 at January 20, 2006 11:23 AM | コメント (0) | トラックバック (0) | Clip!! | Edit

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