Log No. 344

実録・外道の条件

町田康著、「実録・外道の条件」を読んだ。

許さん。復讐の鬼と化した俺は三年間洞窟にこもって本稿を書き綴った・・。
約束の場所に行ってもおらず、携帯に電話してもつながらない記者。撮影現場で目もあわせず、紹介されても挨拶もろくにできないヘア&メイク。などなど以下延々と続く。鞭無能な各種マスコミ、業界人へ怒りの町田節!-amazon.co.jpから引用-

gedou.jpg町田康の文学が読みたくて古本屋の本棚を漁っていて手に取ったのがこの作品。小説だと思って買ったら、エッセイ集のようなものだった。彼の業界にて体験した理不尽な出来事の数々を面白おかしく愚痴りながらそれをもたらした人々を達観した視点から鋭く批判する。上に引用した紹介文を買う前に読んでいたならおそらく買っていなかったな。けど、裏表紙にあった本文からの引用を使った紹介文、「なにゆえかくも話が通じないのであろうか。丁重な文面であるにもかかわらず、その文面のなかにときおり顔をのぞかせる強い調子、攻撃的な排他性のごときを改めて強く感じ、その根拠として彼らが標榜しているボランティアという概念について、普段そんなことについてまるで考えたことのなかった私が、この困惑を契機に深く考えるようになってしまったというのは、いったいいかなる因果・因縁であろうか。(「地獄のボランティア」より)芥川賞受賞第一作となった傑作小説集。」を読んで、これは世の中の欺瞞について町田流に語ってくれるのかな、と思ったわけだから、その点は裏切られなかった。
読み進んでいくと、文章は頭の回転が早い人にありがちな無駄に長い文章(読点を多用していろんな事実を一つの文章で一気に語ってしまう)で、読みにくいことこの上ないのだがあまりの語り口の滑稽さに笑えてきて、気付くとこの町田康という人物を好きになっているから不思議だ。最後の一編はくどさが過ぎて読むのが辛かったけど。
次は是非彼の渾身の長編小説を読んでみたい。

Posted by 344 at February 11, 2006 07:48 PM | コメント (0) | トラックバック (0) | Clip!! | Edit

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