Log No. 344

真夜中の5分前 Side-B

mayonaka_B.jpg本多孝好著、「真夜中の五分前 Side-B」を読んだ。以前続きがあるとは知らずにSide-Aしか持っていない友人に借りて読んでしまったので、今回母と祖父が訪連した際に買って来てもらった。Side-Aは文体と独特のテンポが凄く気に入り、満足していたのでSide-Bもわくわくしながら読んだ。その期待があったからなのか、どうもSide-Bは満足できなかった。Side-A、Side-Bと無理矢理2冊にわけただけあって、物語の雰囲気ががらりと変わっていて確かに驚いたが、そのひねりが活かしきれていないように感じる。それに話がやけに短く、いかに雰囲気が変わると言ってもマーケティング上の都合以上に2冊に分ける必然性を感じなかった。

もっと言うと、Side-Bでの文体は斬新さを越して嫌らしい感じすらした。独自の比喩や言い回しを試そうとしているのだろうがあまりにも不自然で、完全にマイナス効果だったように思う。少なくとも自分はそういった表現や描写が出るたびにうんざりした思いにさせられた。村上春樹の初期の作品(羊をめぐる冒険など)にも、同じ理由で嫌悪感を感じたものだ。

物語的にも、確かに面白いテーマをついているなと思ったが、それを描ききった、とは言えずSide-Aでの複線消化に使われた部分が多かったように思う。一部の複線の消化を無視すれば、Side-Aで完結させていてもなんら問題はなかったんじゃないかな、と。読者としては。

Side-Aで感じたような好感もこの人本人のものには違いないので、今度彼のミステリーを読んでみようとは思っている。

Posted by 344 at November 22, 2005 04:04 PM | コメント (0) | トラックバック (0) | Clip!! | Edit

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