Log No. 344

October 2006

October 30, 2006

集団面接会@ハイテクゾーン

週末、大連ハイテクゾーンの人材会社主催のIT人材集団面接会に出てきた。企業側の出展です。

新卒を中心に、若いIT人材が集まる集団面接会で、企業側は300元くらいの出展費を出すと、人材会社のほうでブースをセットアップしてくれる。(二人がけの机一つに、背後にA0くらいのサイズの会社紹介ポスター)

日本語能力2級相当のモノ、という募集条件だったので、大抵日本語で会話できる人は来ない。というわけで僕のアシスタントのシャオに土曜出勤してもらおうと思ったら、「資格の試験があって行けないので、344さん一人で行ってきてください!ハイこれ地図。」と言われて、一人で行ってきました。

場所はハイテクゾーンのLumingビル。一階の大スペースに、数千人の若者が集まっていた。僕はシャオに何度聞いても「紙とペンだけ持ってけば大丈夫ですから!」と言われていたので、紙とペンを片手にブースでボケーっと座っていた。すると徐々に人がブースにやって来る。会社紹介を眺めて、興味があれば履歴書を提出してそのままその場で面接、というスタイル。

3時間くらい座って、20数人と面接した。中国の面接はかなりフランクです。みんな基本的に私服で、スーツ姿の人はホントに稀。たまにジーンズとかジャージの人もいる。共通してるのは、みんな目がキラキラしている。漫画みたいに。

いろんな人がいて楽しかった。
人材A「寮は?社員食堂は?」
僕「無いっす」
人材A、はぁ?という顔をしてそのまま立ち去る。

僕「どんな仕事をしたいと思って今日この会場に来ましたか?」
人材B「商標の事務作業がしたいと思って!(ってうちの会社紹介に書いてある)」
僕「・・・今日はIT人材の面接大会だよね?」
人材B「えぇでも前からやりたかったんです。」

人材C「この仕事以外になんか無いんですか?例えば、僕は明るいので人とたくさん触れ合う仕事がしたいです!」
僕「うーん、うちは事務の会社だから、そういう人材の期待に応えられる環境を用意できる自信が無いなぁ」
人材C、しばらくブースの前で悩む。
人材C「じゃあ他になんか楽しそうな仕事は?」
僕「知財事務なんて今後益々必要とされる人材で楽しいじゃないですか!」
人材C「・・・・じゃあ仕事はいいです。その代わり社長さん、名刺ください。友達になりたいです」

オヤジA「オタクんとこに、応募させたい子がいるんだけど、会社に連れてっても良いかね!」
僕「まずは履歴書をお送りください。検討して連絡します」
オヤジA「そうか!いや凄くいい子なんだがね!じゃあ履歴書持って行くから、直接行っていいかい!いつならいい?!」
僕「じゃあまずはその履歴書をFAXでこの番号まで送っていただくというのはどうでしょう?!」
オヤジA「分かった!送る!友達の息子なんだがね、いい子なんだ。送ったら伺うから住所教えてくれ!ところでアンタなにジン?」
僕「ニホンジンです。住所は数馬広場です。それでは来社をお待ちしております。」


とまぁこんな感じにイロイロ。楽しかったけど一人で対応はやはり疲れる。言いたいことを言えない場面も多いし、今度こそは週末レイジーなシャオを連れて行く!

October 17, 2006

Gmail Hack!!

最近自分のタスク管理能力がまずいことになってるので、ここでしっかりと仕事を処理できる仕組みと環境を用意して仕事に抜けがない男になる。

これまでは主にPCモニター上にToDoを書いたポストイットをぺたぺた貼り付けていって、終わったら捨てる、ということをやっていたが、メールで来る依頼や仕事の処理が結構抜けるということが続いた。僕は純粋に自分宛のメールが日にせいぜい50~60通程度なのでそこまで酷くない状況のはずなんだが・・・

で、今回使うことにしたのは、巷で評判のGTD(Getting Things Done)メソッドと、私見では世界最強メーラー兼タスク管理ツール、Google社のGmail。

以下GTDについてのリンク
ワークスタイル・メモ:GTD・Lifehacks
時間と仕事の整理術『GTD』がカルト的人気

以下Gmailについてのリンク
ITmedia Biz.ID:Gmailに学ぶ-大量のメールに振り回されない基本テクニック

キモとなるのは、Gmailの以下の超画期的機能。
・InboxからArchive化させる構造によって、Inboxを空にしておける設計
・ラベル+フィルターという、従来のフォルダ式とは根本的に発想が違うメール分類
・アライアスメールアドレスで、無限メールアドレス+それを利用したフィルターによる管理機能
・ウェブメーラーでありながら、複数のメールアドレスを管理できたり、Gmail以外のメールアドレスとしての送信・返信設定も可能」
・ウェブメーラーでありながらRSSリーダーとしても機能
・AJAXによる直感的インターフェース
・圧倒的に強力なスパムフィルター
・スターマークによる、優先処理案件のフィルタリング←GTDに向いている
・様々なログイン方法を提供している。AUのWINなどの大容量通信ができる人はガンガン携帯でGmail使ったらいいと思う。GMailログインURLまとめ:http://gmail.1o4.jp/login.html
・GoogleTalkでの会話履歴もGmail上に集約され、メールと同じように管理できる。

で、今回このGTDをGmail上で実践するために、下記要領で環境を整えた。ポイントはFirefox。学生の頃はFirefoxのファンだったが、ここ1年ほどはずっと仕事の関係でSleipnirとIEのみでやってきた。Gmail活用に便利とあらば、ブラウザというよりはメーラーアプリとして、Firefoxに復活願おう。

1.現在使用中の5つのメールアドレスを全てGmailに転送設定し、集約。
2.value domainで運用している独自ドメインメールアドレスで、catchall設定+Gmailフィルター機能=無限メールアドレス (仕事でGmailアドレスを使うのは何かと問題があるため、独自ドメインでも色々できるのは便利)
参考サイト:http://kazamidori.net/kaoru/gmail/
3.Gmailのウェブスペースをデスクトップ上ドライブの感覚で利用できるGdriveを設定。
参考サイト:http://shiryog.xrea.jp/archives/2005/04/04_2330.php
4.Gmail×Firefox=最強らしい。
参考サイト:http://gmail.1o4.jp/firefox.html
5.Firefoxをダウンロードしたらまず行う設定
参考サイト:http://audiofan.net/archives/2005/11/firefox_ver15.php
6.GmailでGTDを行うのに最適なプラグイン、GTDGmailを設定。
参考サイト:http://www.gtdgmail.com/
7.Greasemonkeyを中心に、その他便利プラグインでがりがり拡張。
参考サイト:http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20050518302.html
8.最後は同じ環境をUSBメモリ上に持たせれば、どこでも同じように仕事ができる。
参考サイト:http://www.forest.impress.co.jp/article/2005/12/12/portablefirefox.html
9.おまけで「これ、Gmail!」ブックマークレットで、情報収集とスクラッピングも管理。
参考サイト:http://gmail.1o4.jp/this.html

こういう仕事環境は慣れてしまうと、それを微妙に拡張していく、ということはあまりしないもんなので、最初にとことん環境整備に力を入れることが肝要。惜しむらくはネットの中国のネット速度が遅いためにサクサク超快適、とはいかないところか。それでもシンプルなHTMLによる設計は、他者のウェブメーラーよりも数段軽いのだけど。ただ、ウェブメーラーであるがゆえに、どんなサイズのファイルも受け取るのに時間的差はないというのが、逆にネットが細い中国では重宝する特徴。

今日一日この設定でやってみたが、やはり相当管理しやすい。タスク処理の質も上がるようだったらまた報告します。

海辺のカフカ

村上春樹著、「海辺のカフカ」を読んだ。

「君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年になる」―15歳の誕生日がやってきたとき、僕は家を出て遠くの知らない街に行き、小さな図書館の片隅で暮らすようになった。家を出るときに父の書斎から持ちだしたのは、現金だけじゃない。古いライター、折り畳み式のナイフ、ポケット・ライト、濃いスカイブルーのレヴォのサングラス。小さいころの姉と僕が二人並んでうつった写真…。 -「BOOK」データベースより-」

kafkaontheshore.jpg村上春樹という作家はあまり好きではないのだけど、彼の作品はたまにツボにはまります。今回の海辺のカフカも、よかった。彼のほかの作品と共通するテーマがいくつもあったように思うけども、この作品だけでえらく完成された印象を受ける。登場人物の会話が異様に記号的なのはいつものことで、さらに物語とは関係のない人物や描写というのも全くなくて、リアリティの欠片もないのだけど、メディアとしての小説というのはこういうことか、という感じ。

章毎に三人称の過去形で語られるパートと、一人称の現在進行形でかかれるパートに分かれていて、一人称現在進行形パートでは途中から二人称現在進行形、なんてのも混ざってくる。読んでて不思議な気分になる、不思議な小説です。

しかしこの現在進行形で書く、というスタイル、最近流行りなんだろうか。舞城小説でもよく使われているし、伊坂小説でもたまに使われていた。海辺のカフカではカフカ少年の章全ての文章がそうだったので、読みにくいことこの上なかった・・・

でも全体的にはヒット。暇ーな時に読むのをお勧めできる一冊です。

October 04, 2006

初めてクビを切った

今日、会社を始めて1年半にしてはじめて、従業員を解雇した。

一ヶ月前にすでに解雇を決断していたが、本人には熱意があったので「これから一ヶ月以内に成果が出せなかったら辞めてもらう」という話をした。そして今日がその約束の期日だった。

結果として、彼は要求を満たせるような内容の仕事が全然できなかったので、約束どおり解雇を決定した。採用の目的を果たせない人材、それどころか周りの業務を妨害するほどのミス率を一人で叩き出すほどの人間を、継続して抱えていく余裕はうちの様な弱小ベンチャーには無いのです。

この1週間ずっとそのことが頭にあって、あぁとうとう言わないといけないな、と嫌な気分で面談に臨んだ。

その彼は、最初は自分ができなかった理由を色々と述べていたが、あるタイミングからぱったりと弁明をやめ、凄い目つきで給料の話、保険の話、交通費の話、それらと絡めて法律だ弁護士だ裁判所だといろいろと言い始めた。こちらは完全に法律に則ってことを運んでいたのでまったくその点は問題にならなかったが、そうとみるや今度はその他の社員による陰謀で力が出せなかった、とか、日本企業は出る杭が打たれる、とか、この会社はホントにどうしもなく酷いところだから、誰を採用しても中をしばらくみたら誰もが辞めたくなるだろう、とか喚き始めた。途中、自分の資料を持って出て行きますと作業スペースに戻ろうとしたが、こういう豹変もあろうかと彼を会議室に呼んだ時点で彼のPCのパスワードを変えさせてあった。

その後もしばらく全社員は三好さんを騙しているんですよとか言いながら中国社会についてのよくある暗い企業の裏話を説教していた。気が済むまで話させていたら、しまいに「三好さんだけは信頼できます」とかおだてはじめて、最後はとても塩らしくなっていった。一生懸命やっているスタッフを侮辱されて怒りで文字通り震えていたが、別れ際は会社の印象を決定づける大切な瞬間、堪えて笑顔で握手して送り出した。彼が見えなくまるまで見送ろうとしてたら、30メートルほど去っていってから振り返って走って戻ってきて「先月交通費が30元少なかったのでちゃんと振り込んでおいてください」とだけ言ってまた去っていった。

解雇する前は、せっかく雇って、これまで一緒に楽しく仕事をやってきた仲間を、合理性の名の下に切らなくてはならないことで嫌な気分だった。解雇した後は、その人材の豹変っぷりと、その人材がそんなに暗い思いを溜め込んでいたことに気づけていなかったことに本当に暗い気持ちになった。

会社は、社員の生活を守るために頑張らなくてはいけない。今日彼と別れたことで、残った社員の仕事環境と生活がより堅実なものとなったと考えよう。彼が言っていたように本当に酷いところで誰もが辞めたいと、そんな風に思われる余地がないような、そんな会社にして行こう。

あーこんな経験ができて僕は実にラッキーです。

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