Log No. 344

January 2007

January 19, 2007

ダーウィンの悪夢とフィレオフィッシュ

フーベルト・ザウパー監督作品、「ダーウィンの悪夢」を観た。

アフリカのヴィクトリア湖。かつてそこでは多様な生物が棲む「生態系の宝庫」だった。しかし半世紀ほど前に放流された外来魚ナイルパーチが、他の魚を駆逐していく。それと同時に湖畔では、ナイルパーチの一大漁業産業が発展。加工された魚は、毎日のように飛行機でヨーロッパへ運ばれていく。それは湖畔に住む人々に、大きな影響を与え始める…。-goo映画の解説文より-

darwinsnightmare.jpgこれは衝撃的な映画だ。一生態系の破壊、そして一魚加工産業が引き起こす、貧困、暴力、売春、エイズ、武器密輸といった負の連鎖。これらを半ば物語的に語り明かしていくドキュメンタリー。あらすじをどこかで読んでいけば、実はそれ以上の内容はない映画なのだけど、やはり映像の力はすごい。

印象的なのは、さんざん町の惨状(弓矢で魚の研究所を警護する男、売春によってエイズが蔓延し若くして皆死んでいく村、蛆のわいた魚のアラしか食べることができない近隣住民)を見せたあとに、「ビジネスは上手くいっています(笑顔)」という国外のビジネスマン達の台詞。

気になる点も多かった。やたら、情報が不確かなのだ。「そういううわさを聞いた」「〜〜と言ってるのをテレビで見た」「〜〜と新聞に書かれていた」なんてのをインタビューの結果として流す。観ている側としては、それが正しいのかどうかは分からないけども、それを事実として受け取るしかない。しかし重大な事実にも関わらず、それが正しいのかの検証はこの作品では省略されているために、なんだかもやもやしたものが鑑賞後に残るのだ。おそらく真実に近いものを見せているのだろうけども、この作品を根拠に誰かを糾弾することは難しい。もしかしたらそれを狙ったのかもしれないけど。(告発モノだとしたら危険すぎる内容なのかもしれない、と)


ナイルパーチという魚について少し検索してみた。日本では「白すずき」という名前でスーパーに並ぶらしい。または単に「白身魚」と。マックのフィレオフィッシュなどもこのナイルパーチを多く使っているとか。

よく、ブランドモノの模造品やPCソフトの海賊版、売春などにお金を出すことは、そのまま組織犯罪を資金的に援助することだ、だからそれらを買った人々も同罪だ、という論がある。これは真実だと思う。では、マックでフィレオフィッシュを食べることはどうなのか。スーパーで晩御飯のおかずを買うときに、ちょっと値がはる出所が確かな食品と、そんなに味は変わらないけど安い「白身魚」。僕なら後者を買ってしまいそうだ。そして知らずにアフリカの売春、エイズ蔓延、武器密輸に加担する。そういうことなんだろうか。そういうことなんだと思う。どこかで黒くなったはずの鎖は、僕らの手元に届く頃には再び白く塗られている。

生活の中に、どれだけこのようなことが溢れているんだろうか。「安い」という価値は大抵こういった構造の上に成り立ってる気になってきてしまう。今更なのかも知れないけど、きっと僕らの生活はもうこういう黒い鎖から逃れられないところにいるみたいだ。誰かを食い物にしながら生きる、など自然の法則といえばそれまでだが、それに無自覚ではいたくないなと思う。世界の仕組みとして組み込まれているほどの悪(僕はやはり悪だと思う)のサイズに、立ち向かう術を今は思いつけないのだけど、せめて無自覚ではいたくないと思う。

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In her shoes

inhershoes.jpgキャメロン・ディアズ主演、「In her Shoes」を見た。久々に爽やかな映画を見た。年末になぜか親父と二人で見た映画なのだけど、親父と見ていたがゆえに、どうしても泣くわけにはいかなかったのだけど、これは泣けた。保守的で地味で暗くて堅い仕事についている姉と、奔放で美人だけど男にだらしなく仕事にもつけない妹の成長物語。王道的な人間成長ドラマだけども、いいものはいい。ちょっと内容の割りに冗長過ぎた気もするけども。

この映画、何が良かったって、ディアズの足がやたら長いこと、じゃなくて、主人公二人のおばあちゃん役の人がホント美しいんですよ。調べてみたら大女優だった。こういう風に老いる人って素敵だなぁと思った。

映像もとっても綺麗なので、落ち着く映画が見たい時にはお勧めします。

白夜行

東野圭吾著、「白夜行」を読んだ。

1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂―暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女はその後、全く別々の道を歩んで行く。二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪。だが、何も「証拠」はない。そして19年・・・。息詰まる精密な構成と叙事詩的スケール。心を失った人間の悲劇を描く、傑作ミステリー長編!

byakuyakou.jpg一気読み!初東野圭吾だったのだけど、評判どおりの筆力でした。大連から成田へ向かう飛行機で読み始め、帰国してすぐ迎えた週末、ほぼ半年振りの日本の土曜日なのに、昼過ぎまでずーっとこの小説読んでた。読み終わったあとはズシンと重い何かが残る。決して面白い小説ではない。主人公たちの卑劣な犯罪を淡々と描き続けるだけの小説なのに、なぜにこうも悲しくなるのか。とにかく重い何かが、その後何日も残ることになった、威力のある作品でした。

東野作品には、またしばらくしたら何冊か手を出してみようと思っています。

January 03, 2007

2006年ランキングs

去年もやった年間いろんなものランキングs。今年もやってみよう。

2005年のランキングはこちら

2006年に読んだ文芸小説ベスト3。
1.舞城王太郎著、「阿修羅ガール」
2.川島誠著、「800」
3.ウンベルト・エーコ著、「薔薇の名前」

今年最大の収穫は舞城ワールドに出会ったことか。リアルタイムコーヒー企画も、本当に興奮させてくれた。

2006年に読んだエンタメ小説ベスト3。
1.宮部みゆき著、「火車」
2.島本理生著、「ナラタージュ」
3.東野圭吾著、「白夜行」

今年は積極的にエンタメ小説を読んだ年だった。どれも評判の高いものを選んだので、かなり充実したセレクションとなった。3つを選ぶのが大変だったほど。全体的に見ると、ミステリーが多いのはなんでだろう。今まではミステリーというジャンルはあまり好きではなかったのだけど。でもよく書店で売り上げランキングで上位にあったり、書評で推されているものには、なぜかミステリーが多いんだよね。

2006年に読んだノン小説ベスト3。
1.H.ウィリアム・デトマー著、「ゴールドラット博士の論理思考プロセス」
2.スティーブン・コヴィー著、「七つの習慣・最優先事項」
3.渡邊奈々著、「チェンジ・メーカー」

実は1と2はいずれも読了していないんですが、受けたインパクトは大きい。もうちょっと読み込んで身に着けたい。3はちょっとした思い入れもあり、初心を思い起こさせてくれた一冊。

2006年に読んだマンガベスト3。
1.史村 翔、池上 遼一作、「サンクチュアリ」
2.該当作なし
3.該当作なし

サンクチュアリ熱すぎる。もう少し早くこの漫画に出合っていたらそっちの方面に感化されていてもおかしくなかった(笑
でも今年はほとんど漫画読まなかったのでランキング作成不可。

2006年に見た映画ベスト3。
1.SAYURI
2.該当作なし
3.該当作なし

ランキング作成不可。今年もほとんど見ていない。SAYURIは凄く良かった。

2006年に見たドラマベスト3。
1.該当作なし
2.該当作なし
3.該当作なし

24とフレンズ(シーズン6)しか見ていない。よってランキング作成不可。しかしフレンズにははまった。

2006年に聞いた曲ベスト3。
1.該当作なし
2.該当作なし
3.該当作なし

やばい。全然聴いてないや音楽。

2006年にみとれた女優ベスト3。
1.該当者なし
2.該当者なし
3.該当者なし

・・・

2006年によく巡回したBlogベスト3。
1.該当なし
2.該当なし
3.該当なし

俺2006年何やってたんだ?

なんかこのランキングを作成して凹みました・・・
2007年は、もっと仕事以外の活動にも精を出して、文化的に、精神的に豊かな生活を送りたいと思います・・・

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