新田次郎著、「孤高の人」を読んだ。山岳小説というジャンルらしいが、とにかく大正から昭和初期にかけて生きた不世出の登山家、加藤文太郎の生涯を綴った物語。こいつは本を読まねーだろー、と思ってた友人から誕生日プレゼントとして贈られたんだけど、これは、やられた。稀にしか出会えないレベルの読み応え。ちょっとそいつを見直した。
この小説には、目の前にあるように美しく厳しい山頂の風景、孤高であろうとしても振り払えない人と触れ合うことへの渇望、そして人と触れ合えた時の喜びが、ふんだんに描かれている。孤独であろうとする心と、人との繋がりを求める心との葛藤にひどく共感した。物語の最後は、プロローグですでに予言されている通りに文太郎の死で幕を閉じるんだけど、そのあまりの壮絶な人生と、彼を待つ人のことを想って、読了後しばらく放心してしまった。
読み終わってこれが実在の人物(実名)の物語と知ってさらに驚愕。強烈な小説でした。激しくお勧め。
Posted by 344 at August 02, 2006 09:32 PM | コメント (0) | トラックバック (0) | Clip!! | Edit
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